Caramelとデザイン。

2012年のブランドスタートの時、この場でこんな気持ちを書きました。
『身近に置きたいもの、特別なのにスタンダードなもの、
永く使えるもの、シンプルなもの…
こんな感覚を意識しながらデザインしてます。』

今でも上に書いた様な意識は強くあるのですが、今Caramelの製品を考える時に特に意識してる事をお伝えしたいと思います。
デザインすると言う事は景色の一部を考える事で、バッグのデザインを考える場合、持つ人とバッグの存在が都市部の街の中であったり、自然の木立の間であったり、部屋の中の景色との調和を考える事。その調和をデザインしないといけない気がします。
小物でしたらテーブルの上や部屋の風景の一部であると。
自分自身も世界の一部である事を思い起こす事。

ビルや住宅等、人工物の中に囲まれて生活してると、引きで物を見る事を忘れがちになります。
デザイン作業においても製品そのものに気持ちが入りすぎて、調和を忘れたり感じなくなったりしがちです。
少し引いて見て、景色の中の人とバッグの関係が気持ち良く調和が整った関係になる様に考え続ける事がCaramelのデザインなのかな、と思っています。

人のあふれる街の中、地方の港町、木漏れ日の森の中。
旧い家並、近代的建築物。人工的公園、自然の森。
コンクリートの駅、一面緑の水田。
ほんの少し引いて見て、景色の中に心地良く調和するデザイン。

広い世界の中に小さなCaramelが有り、私の思うCaramelと美意識でデザインを行う事。


バッグは人に近い道具です。
どんなバッグを選び使うか?。持つ人は自身の考え方や心持ち、ライフスタイルを体現したいと思うでしょう。
自分を少し背伸びさせたいと思ったり、リラックスしたいと思ったり、こんな風に見られたいと願ったり、隠したい弱さやズルさがあったり。
私たちは時折、自分のライフスタイルや大きく言えば生き方・人生について考える事があります。作り手は成熟した社会に生きる今の私たちにフィットするバッグのデザインを提案しなければなりません。


気持ちにフィットするデザイン。Caramelのデザインは使い手の心の風景への映り方も大切にします。

Caramelは私がデザインし、型紙をおこして縫製し制作していますが、中でも頭の中のデザインを型紙におこし、試作する作業に最も多くの時間とエネルギーを使います。
カタチを考え裁断して縫製して、試作品を何度も見て腹の中に落としてみます。
腹に落とす事を繰り返し、『腑に落ちる』感覚に行き着く事があります。
頭で考えたデザインが体・心に合っていく感覚です。
それはデザインの完成が近づいて来た時です。
そこから細部の修正やプロポーションの調整を行ってようやくデザイン作業が終了します。

カタチを考え、パターンを考え、縫製や組み立ての手順を考え試作する事を繰り返し私が行う事でデザインの独自性・Caramelらしさを創り上げます。

今はバッグを作る事でCaramelのある風景をデザインしていきたいと思っています。

Caramel 中村拓也
2017年9月




全てのバッグにはモデルナンバーが刻まれたこの真鍮製のプレートが取付けられます。
モデルナンバーは一つ一つ手打ちで刻印します。
素材にこだわりデザインは徹底してシンプルに。
そしてこのバッグを私たち自身の手でバッグに縫製し完成させていきます。

ブランドについて

キャラメルと言う名前は
『キャラメルを口にした時のホッとするような幸福感、安らぎ』
こんな感覚をバッグに感じられるようにと名付けました。
身近で普段使いっぽい、覚えて頂き易い名前かなと感じております。

既存のバッグメーカーにはない鞄作家的なデザイン、生地から企画するという
発想により"オリジナル"なバッグブランドを、
そして一人一人の"STANDARD"を目指します。